株式会社東研サーモテック様 事例
基幹システム再構築事例 : 株式会社東研サーモテック様
9つの工場の基幹システムをSapiensで再構築
1拠点6カ月の短期稼働を実現
1拠点6カ月の短期稼働を実現
金属部品の熱処理専門企業として、日本のものづくりを支える株式会社東研サーモテック。同社は工場で運用している基幹システム(生産管理システム)を統合してオープンサーバープラットフォームに移行するにあたり、ローコード開発ツールの「Sapiens」を採用し、
国内9つの工場に展開しました。
本稼働後は自社で保守・運用を行い、サピエンステクノロジー・ジャパンの支援を受けながら安定稼働を続けています。
【事例概要】
課題
●工場ごとにオフコンで運用してきた基幹システムをオープンサーバープラットフォームで再構築
対応策
●Sapiensを用いた基幹システムの再構築
●10数年かけて国内9工場の基幹システムを順次移行
●10数年かけて国内9工場の基幹システムを順次移行
効果
●1拠点約6カ月でのスピード稼働を実現
●拠点に合わせたシステム展開により生産性を向上
●年間約30回の更新・改修作業を自社要員1 名で実施
●拠点に合わせたシステム展開により生産性を向上
●年間約30回の更新・改修作業を自社要員1 名で実施
生産管理システムを統合しオープンサーバープラットフォームへ移行
東研サーモテックは金属熱処理のリーディングカンパニーとして、関西を拠点に事業を展開しています。近年は電気自動車(EV)の需要増を受けて金属コーティング事業を2 つめの柱に位置付け、さらなる成長を続けています。カーボンニュートラルの達成に向けて環境課題の解決にも注力し、熱処理設備の効率化を通して直接排出量(Scope 1)やサプライチェーン排出量(Scope 3)の削減に貢献しています。
「当社のビジネスは、お客様から金属部品を預かり、硬度を高めてお返しすることです。ものづくりの企業として自社製品を製造することはありませんが、お客様の製品にさまざまな付加価値を提供しています」と、同社の理事 管理副本部長 システム部長の寺尾功司氏は語ります。
「当社のビジネスは、お客様から金属部品を預かり、硬度を高めてお返しすることです。ものづくりの企業として自社製品を製造することはありませんが、お客様の製品にさまざまな付加価値を提供しています」と、同社の理事 管理副本部長 システム部長の寺尾功司氏は語ります。
金属熱処理の設備は、年末年始などの休業期間を除いて24時間のフル稼働が基本であり、それらを支える基幹システム(生産管理システム)にも安定稼働が求められます。しかし、ビジネスの形態が年々変わっていく中、従来のシステムでは新たな変化に対応することが難しくなっていました。
「2000年代前半までは国内の複数工場にオフィスコンピュータ(オフコン)を置き、それぞれレガシー言語で開発した生産管理システムを利用していました。当時のシステムでは伝票を打ち出す程度だったため、OA 機器レベルの使い方に留まっていました」(寺尾氏)
「2000年代前半までは国内の複数工場にオフィスコンピュータ(オフコン)を置き、それぞれレガシー言語で開発した生産管理システムを利用していました。当時のシステムでは伝票を打ち出す程度だったため、OA 機器レベルの使い方に留まっていました」(寺尾氏)
同社は約5年に1度、これらのオフコンを更新していましたが、永続的に高額な費用をかけて更新を続けていくのは将来的にメリットがないと考え、さらに活用度を高めるためにもオープンサーバープラットフォームで統合システムを再構築することを決断しました。
先進性の高い「Sapiens」を採用し新しい開発にチャレンジ
基幹システムの再構築を検討した同社は、1年かけて要件定義を実施。その後、RFP(提案依頼書)に基づいて提案を受けた中から、ローコード開発ツール「Sapiens」による内製開発を選択しました。当初は従来と同様、レガシー言語で再開発する計画でしたが、開発者の確保が難しく、外部の開発支援体制も縮小する中で紹介されたのがSapiens でした。
「ローコード開発に関心はありましたが、当時はSapiens が日本で販売されて10年足らずで不安もありました。そこで、サピエンステクノロジー・ジャパンまで話を聞きに行ったところ、同社の社長から『日本で実績が少ないからこそ、1つ1つのプロジェクトで失敗はできないという意気込みのもと、情熱を持ってSapiensの普及に取り組んでいます』という熱い話を聞いて興味が湧きました。すでにSapiens を活用していたユーザー企業にも直接ヒアリングして確信を強めることができたため、当社も新しい挑戦としてSapiens を採用することを決めました」(寺尾氏)
「ローコード開発に関心はありましたが、当時はSapiens が日本で販売されて10年足らずで不安もありました。そこで、サピエンステクノロジー・ジャパンまで話を聞きに行ったところ、同社の社長から『日本で実績が少ないからこそ、1つ1つのプロジェクトで失敗はできないという意気込みのもと、情熱を持ってSapiensの普及に取り組んでいます』という熱い話を聞いて興味が湧きました。すでにSapiens を活用していたユーザー企業にも直接ヒアリングして確信を強めることができたため、当社も新しい挑戦としてSapiens を採用することを決めました」(寺尾氏)
1 拠点あたり6カ月の短期間で構築 9 拠点への展開を実施
東研サーモテックにおける基幹システムの再構築は2004年に中小企業庁の「IT 活用型経営革新モデル事業」に採択されて助成金を受けることになり、2006年より本格的な開発がスタートします。複数の熱処理工場の中から、最初のターゲットは兵庫県の小野工場に定めました。
「最初の開発は確実に成功させなければならないと考え、規模と設備内容を勘案して小野工場を選択しました。小野工場は鉄に焼き入れをする炉の形状が特徴的で、当時は炉のキャパシティに対して生産量にばらつきがあったことから、生産性向上の課題を解決する目的にも合っていました」(寺尾氏)
小野工場の基幹システム開発は2006年7月から2007年3月までの約半年間、東研サーモテックのシステム部からマネジメント層も含めると3名、実質2名のエンジニアで進めました。サピエンステクノロジー・ジャパンとパートナー企業からの支援も含めると、常時6~7名の体制を確保。開発に携わったシステム部 開発課長の藤澤大輔氏は次のように語ります。
「サピエンステクノロジー・ジャパンからSapiens の講習を受け、徐々に当社メンバーでも開発ができるようになっていきました。マスターのメンテナンス画面は自社で作ってみたらという提案を受け、当時最初に開発したものは10数年経った今でも使っています。通常のプログラム言語は詳しい知識がないと開発できませんが、Sapiens を使うと、すぐさまメンテナンス画面を構築することができました。ロジカルな領域もプロパティのチェックだけで表現することが可能で、画面もグラフィカルに設計ができました」
従来のシステムからは操作画面が大きく変わることから、ユーザーの戸惑いも予想されましたが、事前の要件定義を慎重に実施したことが功を奏したといいます。
「要件定義では、システム部だけでなく、品質管理部や営業部も参加して毎週のように打ち合わせをしました。それぞれの部門が見ているシステム画面も、事前に情報を共有しながら合意ができていたためスムーズな立ち上げができました」(寺尾氏)
小野工場の新基幹システムの稼働後は、安定運用するまで1~1.5年の期間を空けながら他の工場のシステムの再構築を進めました。サピエンステクノロジー・ジャパンとパートナー企業も継続して支援を行い、1工場あたり6カ月程度の短期間で稼働させています。和歌山県の橋本工場(2019年3月に竣工)では新規のシステム立ち上げ、2022年3月に稼働した9つ目である最後の寝屋川工場では古くからあるシステムの再構築など、工場の特性や環境に合わせて対応していきました。
「最初の開発は確実に成功させなければならないと考え、規模と設備内容を勘案して小野工場を選択しました。小野工場は鉄に焼き入れをする炉の形状が特徴的で、当時は炉のキャパシティに対して生産量にばらつきがあったことから、生産性向上の課題を解決する目的にも合っていました」(寺尾氏)
小野工場の基幹システム開発は2006年7月から2007年3月までの約半年間、東研サーモテックのシステム部からマネジメント層も含めると3名、実質2名のエンジニアで進めました。サピエンステクノロジー・ジャパンとパートナー企業からの支援も含めると、常時6~7名の体制を確保。開発に携わったシステム部 開発課長の藤澤大輔氏は次のように語ります。
「サピエンステクノロジー・ジャパンからSapiens の講習を受け、徐々に当社メンバーでも開発ができるようになっていきました。マスターのメンテナンス画面は自社で作ってみたらという提案を受け、当時最初に開発したものは10数年経った今でも使っています。通常のプログラム言語は詳しい知識がないと開発できませんが、Sapiens を使うと、すぐさまメンテナンス画面を構築することができました。ロジカルな領域もプロパティのチェックだけで表現することが可能で、画面もグラフィカルに設計ができました」
従来のシステムからは操作画面が大きく変わることから、ユーザーの戸惑いも予想されましたが、事前の要件定義を慎重に実施したことが功を奏したといいます。
「要件定義では、システム部だけでなく、品質管理部や営業部も参加して毎週のように打ち合わせをしました。それぞれの部門が見ているシステム画面も、事前に情報を共有しながら合意ができていたためスムーズな立ち上げができました」(寺尾氏)
小野工場の新基幹システムの稼働後は、安定運用するまで1~1.5年の期間を空けながら他の工場のシステムの再構築を進めました。サピエンステクノロジー・ジャパンとパートナー企業も継続して支援を行い、1工場あたり6カ月程度の短期間で稼働させています。和歌山県の橋本工場(2019年3月に竣工)では新規のシステム立ち上げ、2022年3月に稼働した9つ目である最後の寝屋川工場では古くからあるシステムの再構築など、工場の特性や環境に合わせて対応していきました。
「同じ熱処理でも、自動車部品向けの工場とその他の部品向けの工場では品質の管理方法が異なり、それぞれに合わせて対応する必要があります。設備の形状やロットの定義なども工場によって異なるため、複数パターンの画面を開発しました。とはいえ、全体的には小野工場の導入時に作成した設計図をベースとすることで、品質の高いシステムを構築することができました」(寺尾氏)
さらに導入期間中、Sapiens のノウハウを活かして基幹システム以外にもワークフローシステムを開発するなど、自社開発のスキルも徐々に向上していきました。
さらに導入期間中、Sapiens のノウハウを活かして基幹システム以外にもワークフローシステムを開発するなど、自社開発のスキルも徐々に向上していきました。
システムの運用保守を自社で実施 年間30回程度のプログラムを改修
現在、各拠点で稼働中のシステムは、Sapiensのプログラムを更新・改修しながら進化を続けています。運用・保守の業務は、システム部の担当者の約1名体制で対応しています。
「業務担当者からのリクエストに応じて、各工場で数回システムを停止して改修しています。
当社で手が回らない改修規模になる場合は、サピエンステクノロジー・ジャパンにスポット対応を要請しています。他の業務と兼務しながら実質1名体制でも、こまめに改修ができているのはSapiens ならではと実感しています。通常のプログラム開発では、ドキュメントを残したり、管理表をメンテナンスしたりと複雑な作業が発生しますが、Sapiens なら一元的に管理ができるため、運用工数の削減につながっていま
す。影響範囲を調べる際も、クリックしながら次から次へとチェックしていけるため関連性がイメージしやすく、修正も容易です」(藤澤氏)
サピエンステクノロジー・ジャパンからの支援にも信頼を寄せているといいます。藤澤氏は「運用中に障害が発生した際の緊急対応でもレスポンスが早く、問題に対しても一緒に解決方法を考えていただけます」と語り、寺尾氏も「Sapiens 導入前に感銘を受けた前社長のスピリットは、現在の社長や開発メンバーにも受け継がれていると思います。基幹システムの開発を担当したSE の方に、長く運用保守のサポートも担当していただいているので、当社の業務をよく理解した適切なフォローに助かっています」と評価しています。
「業務担当者からのリクエストに応じて、各工場で数回システムを停止して改修しています。
当社で手が回らない改修規模になる場合は、サピエンステクノロジー・ジャパンにスポット対応を要請しています。他の業務と兼務しながら実質1名体制でも、こまめに改修ができているのはSapiens ならではと実感しています。通常のプログラム開発では、ドキュメントを残したり、管理表をメンテナンスしたりと複雑な作業が発生しますが、Sapiens なら一元的に管理ができるため、運用工数の削減につながっていま
す。影響範囲を調べる際も、クリックしながら次から次へとチェックしていけるため関連性がイメージしやすく、修正も容易です」(藤澤氏)
サピエンステクノロジー・ジャパンからの支援にも信頼を寄せているといいます。藤澤氏は「運用中に障害が発生した際の緊急対応でもレスポンスが早く、問題に対しても一緒に解決方法を考えていただけます」と語り、寺尾氏も「Sapiens 導入前に感銘を受けた前社長のスピリットは、現在の社長や開発メンバーにも受け継がれていると思います。基幹システムの開発を担当したSE の方に、長く運用保守のサポートも担当していただいているので、当社の業務をよく理解した適切なフォローに助かっています」と評価しています。
自社要員の開発スキルを高めながら業務の変化に合わせてシステムを強化
2004年から進めてきた基幹システムの再構築は2022年3月で終了し、今後は運用保守を継続していく方針です。近々の検討課題は、自動車部品メーカーで増加している「有償支給取引」への対応です。有償支給取引とは、顧客から材料を預かるのではなく、同社が材料を調達して熱処理を加えて納品するものです。
「現在はExcelで作成したデータを取り込んでいますが、将来的には基幹システム内で管理する方向に改修していければと考えています」(寺尾氏)
少人数の開発要員で、9つの工場の基幹システムをSapiensで再構築した東研サーモテックは、サピエンステクノロジー・ジャパンの支援のもと、引き続き開発スキルを高めながらシステムの高度化を図っていきます。
少人数の開発要員で、9つの工場の基幹システムをSapiensで再構築した東研サーモテックは、サピエンステクノロジー・ジャパンの支援のもと、引き続き開発スキルを高めながらシステムの高度化を図っていきます。
会社概要
株式会社東研サーモテック
創業:1909年、設立:1939年8月
本社:大阪府寝屋川市
売上高:148億円(2021年3月期)
事業内容:金属熱処理加工、薄膜形成処理
創業:1909年、設立:1939年8月
本社:大阪府寝屋川市
売上高:148億円(2021年3月期)
事業内容:金属熱処理加工、薄膜形成処理
株式会社東研サーモテック
理事 管理副本部長
システム部長
寺尾 功司 氏
理事 管理副本部長
システム部長
寺尾 功司 氏
株式会社東研サーモテック
システム部
システム部
開発課長
藤澤 大輔 氏
藤澤 大輔 氏